2024.07.12 プルテウス幼生の観察
お茶の水女子大学海洋教育促進事業 日本財団「海と日本2024」“教室に海を”プロジェクトの一環である【海と日本PROJECT全国一斉ウニの発生体験2024年夏タコノマクラ】に参加して、理科部と3年次の選択生物の生徒が受精と観察の実験をしました。
海と日本PROJECT イベントとしてのウニなどの海洋教材提供(令和6年夏)
海と日本PROJECT 全国一斉ウニの発生体験 2024年夏 タコノマクラ
群馬県では、気軽に海で教材を確保してくるのは困難です。実験材料を無償提供していただける本プロジェクトは大変ありがたく、授業の単元のタイミングが合う年は参加させていただいております。
3年次の生物選択生徒は、引き続き、発生途中のプルテウス幼生を顕微鏡で観察しました。受精から約1週間経ち4腕プルテウス幼生に育っています。先生からタコノマクラってどんな生き物なのか、棘皮動物の仲間にどんな生物がいるのかなどの話を聞いた後、生徒たちは各々の関心の向くまま自由に観察しました。生き物の観察の楽しさや発生の不思議さ、海が生命で満ちていることなどを感じてもらえたと思います。
スポイトで吸い上げます | 胃袋が空の幼生 | エサのケイソウで胃袋が満たされた幼生 |
生徒の実験観察プリントから、感想をいくつか紹介します。
受精膜があがる様子を観察できた。資料集で見ていたものが実際に見られてよかった。検鏡していたら5匹くらいの胚が集まってきたので明るいところに集まる性質があるのかもしれないと思った。プルテウス幼生の腕の先っぽが赤くなっていて不思議だった。食事をしている幼生のほうが赤みが強く胚の中心部の動きが活発だった。
受精膜があがるのが思ったより速くて膜が作られる瞬間は見逃してしまった。原腸胚では激しく動き回るものとゆっくり動き回る個体とに分かれ、その違いが何によるのか気になった。またきれいな形になれていない胚もあり興味深かった。口と肛門がしっかり分かった。プルテウス幼生では腕の先端が赤くなっているがそれは何なのだろうか。
受精では最後の方に観察した卵に受精膜があがっており、膜があがる様子は観察できませんでした。割球が思った以上にきれいに卵割していました。4~8細胞期では割球の大きさがほとんど同じでしたが、2細胞期では大きさの異なるものが多かったのが見えてよかったです。一日たつと口で凹んでいたところが平たくなっていました。くるくると回って動いていたので見える角度が変わったり、移動していたのでスケッチが難しかった。細かいところまでしっかりと見ることができ、理解を深めることができました。プルテウス幼生は全体的に透明だったので立体感を感じることができました。
すごく小さな胚が成長すると手のひら大になるということが改めて実感でき、生物はとても興味深いと感じた。教科書で見るより実際にどう動いているのかを見ることができ、良い経験になったと思う。腕の部分などがはっきり見られて感動した。体が透けているため、食べた珪藻の色が観察出来て面白かった。思っていたよりも激しく動きまわるのでスケッチが大変だった。
受精前、精子が卵の周りを勢いよく泳ぎまわっていた。受精後、受精卵の周りから透明な受精膜が周りを囲っていった。自分の目で受精卵・受精膜・2~8細胞期・胞胚・原腸胚を確認できた。プルテウス幼生はそれまでの胚と全く形が違うことに驚いた。V字の凹みがある方の口では立体に見えると大きくくぼみがある。餌を捕食する前と後では形状が違っていた。
受精膜の中に割球が増えたり、次第に割球が小さくなっていった。プルテウス幼生より、プリズム幼生や原腸胚の方がくるくるとよく回っていた。段々と腕が伸びていく過程を見て、生命の成長の仕方が神秘的だと思った。腕の末端に赤色の小さな点が集束していたのが謎だった。
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